2024年11月22日

R6.11.20 フリーランス保護法で何が変わる?違反した場合の罰則とは?

皆様こんにちは。北野税理士事務所の北野です。

今回は、今月から施行された「フリーランス保護法」に関する話題です。


R6.11.20 フリーランス保護法で何が変わる?違反した場合の罰則とは?




2024年11月1日から「フリーランス保護法」(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。

この法律は、個人で働くフリーランスの権利を守るための新しい制度です。

発注事業者には、取引条件を書面で明示することや、業務完了から60日以内の報酬支払い、ハラスメント防止のための体制整備などが義務付けられています。




1.フリーランス保護法の概要



フリーランス保護法で保護される対象者は、主に2つのカテゴリーに分類されます。

1つ目は従業員を使用しない個人事業主、2つ目は代表者以外に従業員がいない法人です。

ここでいう従業員には、アルバイトなどの一時的な雇用者は含まれません。具体的には、フリーランスとして物品の製造、情報成果物の作成、役務の提供などの業務委託を受ける事業者が対象となります。法律上では「特定受託事業者」と呼ばれ、個人の場合はその本人が、法人の場合は代表者が「特定受託業務従事者」として保護されます。

一方、業務を委託する側は「特定業務委託事業者」と定義され、従業員を使用している事業者がこれに該当します。この法律は、働き方の多様化に対応し、フリーランスが安定的に業務に従事できる環境を整備することを目的としています。これにより、取引の適正化や就業環境の整備が図られ、国民経済の健全な発展に寄与することが期待されています。




2.フリーランスに与えられる新しい権利



フリーランス保護法により、フリーランスには3つの重要な権利が与えられます。

1つ目は、契約内容を書面や電子データで明示してもらう権利です。発注者は業務内容や報酬額などを明確に示す必要があります。

2つ目は、適切な期間内での報酬支払いを受ける権利です。業務完了後60日以内の支払いが原則となり、再委託の場合は発注元からの支払い後30日以内とされます。

3つ目は、不当な取引から保護される権利です。発注者による理由のない受領拒否や報酬減額、不当な返品、著しく低い報酬の設定などが禁止されます。また、商品購入の強制や不当な経済的利益の要求、正当な理由のない業務内容の変更なども禁止されます。

R6.11.20 フリーランス保護法で何が変わる?違反した場合の罰則とは?



■義務内容



①書面等による取引条件の明示

フリーランスに対して業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で取引条件を明示する義務があります。明示方法は、口頭での明示はNGで、書面または電磁的方法かを発注事業者が選ぶことができます。取引条件として明示する事項は9つです。

1.給付の内容、2.報酬の額、3.支払期日、4.業務委託事業者・フリーランスの名称、5.業務委託をした日、6.給付を受領する日/役務の提供を受ける日、7.給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所、8.(検査をする場合)検査完了日、9.(現金以外の方法で報酬を支払う場合)報酬の支払方法に関して必要な事項



②報酬支払期日の設定・期日内の支払い

報酬の支払期日は発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定め、一度決めた期日までに支払う必要があります。ただし、元委託者から受けた業務を発注事業者がフリーランスに再委託をした場合、条件を満たせば、元委託業務の支払期日から起算して30日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めることができる【再委託の例外】もあります。



③7つの禁止行為

フリーランスに対して1か月以上の業務を委託した場合には、7つの行為が禁止されています。

1.受領拒否(注文した物品または情報成果物の受領を拒むこと)

2.報酬の減額(あらかじめ定めた報酬を減額すること)

3.返品(受け取った物品を返品すること)

4.買いたたき(類似品等の価格または市価に比べて、著しく低い報酬を不当に定めること)

5.購入・利用強制(指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)

6.不当な経済上の利益の提供要請(金銭、労務の提供等をさせること)

7.不当な給付内容の変更・やり直し

 (費用を負担せずに注文内容を変更し、または受領後にやり直しをさせること)



④募集情報の的確表示

広告などによりフリーランスの募集情報を提供する際には、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、募集情報を正確かつ最新の内容に保たなければなりません。



⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮

フリーランスに対して6か月以上の業務を委託している場合、フリーランスからの申出に応じて、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。また、6か月未満の業務を委託している場合も配慮するよう努めなければなりません。配慮の例としては、以下の対応があげられます。

●妊婦健診がある日について、打ち合わせの時間を調整したり、就業時間を短縮したりする

●育児や介護などのため、オンラインで業務を行うことができるようにする



⑥ハラスメント対策に係る体制整備

ハラスメントによりフリーランスの就業環境が害されることがないよう、相談対応のための体制整備などの必要な措置を講じなければなりません。体制整備などの必要な措置の例としては、以下などの対応があげられます。

●従業員に対してハラスメント防止のための研修を行う

●ハラスメントに関する相談の担当者や相談対応制度を設けたり、外部の機関に相談への対応を委託する

●ハラスメントが発生した場合には、迅速かつ正確に事実関係を把握する



⑦中途解除等の事前予告・理由開示

フリーランスに対して6か月以上の業務を委託している場合で、その業務委託に関する契約を解除する場合や更新しない場合、少なくとも30日前までに、1.書面、2.ファクシミリ、3.電子メール等による方法でその旨を予告しなければなりません。また、予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を請求した場合、同様の方法により遅滞なく開示しなければなりません。


3.違反した場合等の対応



フリーランス保護法に関するトラブルを予防するためには、以下の3つのポイントが重要です。

まず、契約内容を書面で明確にし、お互いの認識に齟齬がないようにします。

次に、法律で定められた支払期限(60日以内)を遵守し、適切な報酬額を設定します。最後に、トラブルが発生した際の対応手順を事前に確認しておきます。

問題が起きた場合は、公正取引委員会や中小企業庁、厚生労働省に相談することができ、これらの機関が調査や指導を行います。なお、違反を申し出たフリーランスへの不利益な取り扱いは禁止されており、違反した発注者には50万円以下の罰金が科される可能性があります。

R6.11.20 フリーランス保護法で何が変わる?違反した場合の罰則とは?



参考資料公正取引委員会フリーランス法特設サイト


フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ(厚生労働省)



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Posted by 北野純一税理士事務所 at 14:07│Comments(0)経営
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