2023年08月31日
消費税の仕入税額控除と帳簿の記載事項
北野純一税理士事務所の北野です。
今回は消費税の仕入税額控除と帳簿の記載事項についてお話します。
日々の実務が忙しいと、帳簿の記載についてもつい省略しがちになってしまいます。しかし、消費税法は仕入税額控除の適用を受けるために必要な事項を帳簿に記載するよう求めています。杓子定規に解釈すれば、「必要事項が記載されていなければ仕入税額控除ができない」ことになります。また、消費税の税率は現在、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率であるため、税率ごとに区分して帳簿に記載する必要もあります。
あらためて、仕入税額控除の要件を満たす帳簿についておさらいをしてみましょう。
1.仕入税額控除の要件となる帳簿への記載事項(課税仕入の場合)
イ 相手方の氏名または名称
ロ 資産または役務の提供を行った年月日
ハ 資産または役務の内容
(軽減税率の対象となる資産の場合は、資産の内容および軽減税率対象である旨)
ニ 支払対価の額(消費税額および地方消費税額に相当する額を含む)
2.帳簿への記載方法
(1)帳簿と請求書等の記載内容の対応関係
請求書等に一品ごとに詳しく記載(たとえば、鮮魚店であれば、「あじ○匹」、「いわし○匹」など)されていても、帳簿には商品の一般的な総称(「魚」または「食料品」)でまとめて記載するなど、仕入控除税額を計算できる程度の記載であれば差し支えありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合(たとえば、ビールと贈答用ビール券)は、区分して記載する必要があります。
また、商品が軽減税率の対象品目である場合にはその旨を記載する必要があります。具体的には、税率や税率コードを記載する、軽減税率の適用対象を示す記号等を記載するなどの方法があります。
(2)一取引で複数の種類の商品を購入した場合
複数の一般的な総称の商品を2種類以上購入した場合、例えば、文房具と雑貨を購入したときのように、それが経費に属する課税仕入である場合には、「文房具等」などと記載することで差し支えありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合、標準税率対象商品と軽減税率対象商品がある場合には区分して記載する必要があります。コンビニで食品とそれを入れるビニール袋を買ったときは、教科書的に言えば、区分して帳簿に記載しなければなりません。
(3)一定期間分の取引のまとめ記載
1か月分の取引について、請求書等をまとめて作成する場合には、請求書等に記載すべき課税仕入の年月日については、「○月分」でよいとされています。このような請求書等に基づいて作成する帳簿の課税仕入の年月日は、やはり「○月分」という記載で差し支えありません。
1か月の間に、区分が同一となる商品を複数回購入しているような場合で、その1か月分の請求書等に一回ごとの取引の明細が記載(または添付)されているときには、帳簿の記載にあたって、課税仕入の年月日を「○月分」と記載し、取引金額もその請求書等の合計額を記載することで差し支えありません。
(4)帳簿に記載すべき氏名または名称
課税仕入の相手方については、その「氏名または名称」を帳簿に記載することとされています。たとえば、個人事業者であれば「田中一郎」、法人であれば「株式会社鈴木商店」と記載することが原則です。
ただし、正式な氏名または名称およびそれらの略称が記載されている取引先名簿が備え付けられていることなどにより課税仕入の相手方が特定できる状況にある場合には、「田中」、「鈴木商店」のような略称による記載であっても差し支えありません。 また、屋号等による記載であっても、電話番号が明らかであること等により課税仕入の相手方が特定できる場合には、正式な氏名または名称の記載でなくても差し支えありません。
参照
No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項

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今回は消費税の仕入税額控除と帳簿の記載事項についてお話します。
日々の実務が忙しいと、帳簿の記載についてもつい省略しがちになってしまいます。しかし、消費税法は仕入税額控除の適用を受けるために必要な事項を帳簿に記載するよう求めています。杓子定規に解釈すれば、「必要事項が記載されていなければ仕入税額控除ができない」ことになります。また、消費税の税率は現在、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率であるため、税率ごとに区分して帳簿に記載する必要もあります。
あらためて、仕入税額控除の要件を満たす帳簿についておさらいをしてみましょう。
1.仕入税額控除の要件となる帳簿への記載事項(課税仕入の場合)
イ 相手方の氏名または名称
ロ 資産または役務の提供を行った年月日
ハ 資産または役務の内容
(軽減税率の対象となる資産の場合は、資産の内容および軽減税率対象である旨)
ニ 支払対価の額(消費税額および地方消費税額に相当する額を含む)
2.帳簿への記載方法
(1)帳簿と請求書等の記載内容の対応関係
請求書等に一品ごとに詳しく記載(たとえば、鮮魚店であれば、「あじ○匹」、「いわし○匹」など)されていても、帳簿には商品の一般的な総称(「魚」または「食料品」)でまとめて記載するなど、仕入控除税額を計算できる程度の記載であれば差し支えありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合(たとえば、ビールと贈答用ビール券)は、区分して記載する必要があります。
また、商品が軽減税率の対象品目である場合にはその旨を記載する必要があります。具体的には、税率や税率コードを記載する、軽減税率の適用対象を示す記号等を記載するなどの方法があります。
(2)一取引で複数の種類の商品を購入した場合
複数の一般的な総称の商品を2種類以上購入した場合、例えば、文房具と雑貨を購入したときのように、それが経費に属する課税仕入である場合には、「文房具等」などと記載することで差し支えありません。
ただし、課税商品と非課税商品がある場合、標準税率対象商品と軽減税率対象商品がある場合には区分して記載する必要があります。コンビニで食品とそれを入れるビニール袋を買ったときは、教科書的に言えば、区分して帳簿に記載しなければなりません。
(3)一定期間分の取引のまとめ記載
1か月分の取引について、請求書等をまとめて作成する場合には、請求書等に記載すべき課税仕入の年月日については、「○月分」でよいとされています。このような請求書等に基づいて作成する帳簿の課税仕入の年月日は、やはり「○月分」という記載で差し支えありません。
1か月の間に、区分が同一となる商品を複数回購入しているような場合で、その1か月分の請求書等に一回ごとの取引の明細が記載(または添付)されているときには、帳簿の記載にあたって、課税仕入の年月日を「○月分」と記載し、取引金額もその請求書等の合計額を記載することで差し支えありません。
(4)帳簿に記載すべき氏名または名称
課税仕入の相手方については、その「氏名または名称」を帳簿に記載することとされています。たとえば、個人事業者であれば「田中一郎」、法人であれば「株式会社鈴木商店」と記載することが原則です。
ただし、正式な氏名または名称およびそれらの略称が記載されている取引先名簿が備え付けられていることなどにより課税仕入の相手方が特定できる状況にある場合には、「田中」、「鈴木商店」のような略称による記載であっても差し支えありません。 また、屋号等による記載であっても、電話番号が明らかであること等により課税仕入の相手方が特定できる場合には、正式な氏名または名称の記載でなくても差し支えありません。
参照
No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項

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2023年08月17日
国税局による「査察」とは
北野純一税理士事務所の北野です。
今回は、国税局による査察についてお話しします。
査察と税務調査、何が違う?
税務調査は所轄の税務署が行います。所得税や法人税等に規定されている「質問検査権」に基づく任意の調査です(実施には納税者の同意が必要です)。主な目的は納税者の申告漏れの調査です。通常は、事前に「○月○日に調査にうかがいたいのですが、よろしいですか」と税務署から連絡が入ります。
一方、査察は国税局査察部が行います。「国税犯則取締法」に基づく強制的な調査であり、悪質な脱税や脱税額が大きなケースを中心に摘発することが目的です。強制的な臨検、捜索、差押等の権限があり、納税者の同意を必要としないため、事前連絡はありません。
令和4年度 査察の概要
国税庁は、毎年「査察の概要」を報道発表しています。今年も6月に令和4年度分が発表されました。それによると、着手件数145件、処理件数139件。処理件数のうち、検察庁に告発した件数は103件(告発率74.1%)でした。脱税総額(告発分)は100億円で、1件当たりの平均脱税額は9700万円でした。
一審判決が61件出ていて、すべてが有罪判決でした。うち、3人は実刑判決でした(執行猶予は付かず)。
「査察の概要」から、事案ごとの特徴的なケースをみてみましょう。
■消費税事案
34件が告発されました。そのうち不正受還付事案は16件でした。
<ケース>
・輸出物品販売場を営む法人が、国内で仕入れた化粧品を外国人観光客に販売したように装い、架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上し、消費税の還付を受けた。
・パワーストーンの仕入れがあったように装い、架空の課税仕入れを計上し、消費税の還付を受けようとした(未遂犯)。
■無申告事案
15件が告発されました。
<ケース>
・ウェブサイト上で競艇の予想情報を販売する個人事業者が、所得税の申告義務を認識していたにもかかわらず、確定申告書を申告期限までに提出せず、所得税を免れた。
・相続財産である現金を複数の場所に隠したうえで、相続税の申告書を申告期限までに提出せず、多額の相続税を免れた。
■国際事案
25件が告発されました。
<ケース>
・外国法人に対する架空の支払手数料等を計上することで、法人税を免れた。
・暗号資産の譲渡の主体を自分ではなく外国法人に仮装することで、所得税を免れた。
■その他の事案
<ケース>
・トレーディングカード販売業者が虚偽の領収書を作成し、架空仕入高を計上するなどの方法により所得を隠し、法人税を免れた。
・SNSを利用して多数の給与所得者を勧誘し、架空の事業所得の損失を計上して給与所得と損益通算することで所得税の還付を受ける不正手段を指南。そのうえで、虚偽の内容の所得税の確定申告書を作成して交付し、多数の給与所得者の所得税を免れさせた。
・大手企業の従業員という立場を利用して、親族主宰の法人名の架空請求書を下請け業者に送付し、自身が管理する借名預金口座に資金を振り込ませていた。その所得を隠したうえで、所得税の確定申告書を申告期限までに提出せず、多額の所得税を免れた。
参照
国税庁「令和4年度 査察の概要」令和5年6月発表資料
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今回は、国税局による査察についてお話しします。
査察と税務調査、何が違う?
税務調査は所轄の税務署が行います。所得税や法人税等に規定されている「質問検査権」に基づく任意の調査です(実施には納税者の同意が必要です)。主な目的は納税者の申告漏れの調査です。通常は、事前に「○月○日に調査にうかがいたいのですが、よろしいですか」と税務署から連絡が入ります。
一方、査察は国税局査察部が行います。「国税犯則取締法」に基づく強制的な調査であり、悪質な脱税や脱税額が大きなケースを中心に摘発することが目的です。強制的な臨検、捜索、差押等の権限があり、納税者の同意を必要としないため、事前連絡はありません。
令和4年度 査察の概要
国税庁は、毎年「査察の概要」を報道発表しています。今年も6月に令和4年度分が発表されました。それによると、着手件数145件、処理件数139件。処理件数のうち、検察庁に告発した件数は103件(告発率74.1%)でした。脱税総額(告発分)は100億円で、1件当たりの平均脱税額は9700万円でした。
一審判決が61件出ていて、すべてが有罪判決でした。うち、3人は実刑判決でした(執行猶予は付かず)。
「査察の概要」から、事案ごとの特徴的なケースをみてみましょう。
■消費税事案
34件が告発されました。そのうち不正受還付事案は16件でした。
<ケース>
・輸出物品販売場を営む法人が、国内で仕入れた化粧品を外国人観光客に販売したように装い、架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上し、消費税の還付を受けた。
・パワーストーンの仕入れがあったように装い、架空の課税仕入れを計上し、消費税の還付を受けようとした(未遂犯)。
■無申告事案
15件が告発されました。
<ケース>
・ウェブサイト上で競艇の予想情報を販売する個人事業者が、所得税の申告義務を認識していたにもかかわらず、確定申告書を申告期限までに提出せず、所得税を免れた。
・相続財産である現金を複数の場所に隠したうえで、相続税の申告書を申告期限までに提出せず、多額の相続税を免れた。
■国際事案
25件が告発されました。
<ケース>
・外国法人に対する架空の支払手数料等を計上することで、法人税を免れた。
・暗号資産の譲渡の主体を自分ではなく外国法人に仮装することで、所得税を免れた。
■その他の事案
<ケース>
・トレーディングカード販売業者が虚偽の領収書を作成し、架空仕入高を計上するなどの方法により所得を隠し、法人税を免れた。
・SNSを利用して多数の給与所得者を勧誘し、架空の事業所得の損失を計上して給与所得と損益通算することで所得税の還付を受ける不正手段を指南。そのうえで、虚偽の内容の所得税の確定申告書を作成して交付し、多数の給与所得者の所得税を免れさせた。
・大手企業の従業員という立場を利用して、親族主宰の法人名の架空請求書を下請け業者に送付し、自身が管理する借名預金口座に資金を振り込ませていた。その所得を隠したうえで、所得税の確定申告書を申告期限までに提出せず、多額の所得税を免れた。
参照
国税庁「令和4年度 査察の概要」令和5年6月発表資料
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2023年08月04日
補助金活用術セミナー 年に一度はご確認を!
中小企業診断士の清水健伍先生をお招きして、補助金活用術セミナーを
開催いたします。今回が7回目の開催となり、これまでのセミナーは
皆様から大変好評をいただいております。
このセミナーでは、新たに創設された補助金についての情報を提供する
だけではなく、年に一回の補助金の見直しの重要性にも焦点を当てていま
す。中小企業の皆様が補助金を最大限に活用し、事業の成長に繋げるお手
伝いをさせていただきたいと考えております。
補助金の制度や応募方法についての専門的な知識を持つ中小企業診断士
によるセミナーは、貴重な機会となることでしょう。是非、皆様のご参加
を心よりお待ちしております。
皆様と共に、補助金を活用した持続的な事業成長を目指してまいります。
※お申込みは、メールまたはお電話でも受け付けております。
ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
◆日時 9月9日(土) 10時から11時半
◆会場 北野純一税理士事務所
高松市檀紙町1648番地6 カヘイビル1階
◆参加費 無料
◆講師 中小企業診断士 清水健伍
◆主催 北野純一税理士事務所
◆カリキュラム
1.補助金とは何か?
2.補助金利用の工程と手順
3.申請のポイント
4.注意とコツ
5.支援者の選び方
6.事例紹介~質疑応答~終了
過去の補助金活用術セミナーでの、参加者の声です。
是非、ご一読くださいませ。

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す。中小企業の皆様が補助金を最大限に活用し、事業の成長に繋げるお手
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を心よりお待ちしております。
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◆日時 9月9日(土) 10時から11時半
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2.補助金利用の工程と手順
3.申請のポイント
4.注意とコツ
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