2023年10月27日

税務署から届く「お尋ね」とは

北野純一税理士事務所の北野です。

今回は、税務署から届く「お尋ね」文書についてお伝えしたいと思います。

税務署から届く「お尋ね」とは



1.税務署から届く「お尋ね」とは


税務署から「~についてのお尋ね」という文書が届くことがあります。
普段目にすることがないため、なかには驚く人もいます。
この「お尋ね」にはさまざまな種類があり、例えば、以下のようなものです。


・所得税(及び復興特別所得税)の確定申告についてのお尋ね
・譲渡所得の申告についてのお尋ね
・事業内容等についてのお尋ね
・お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね
・消費税還付申告の内容についてのお尋ね
・インターネット取引内容等についてのお尋ね
・国外送金等についてのお尋ね
相続についてのお尋ね



これらは、所得税、消費税、相続税、贈与税などにかかわる「お尋ね」です。


2.税務調査ではなく、行政指導


「お尋ね」は行政指導として行われるものであり、税務調査ではありません。
「お尋ね」の主な目的は、申告の内容が正しいかどうかの確認、無申告の場合には申告の督促、申告が必要かどうかの情報収集などにあります。
法的拘束力がないため、届いた「お尋ね」に回答する義務はありません。
しかし、回答せずにいると、次に電話での問い合わせや税務署への呼び出しへと発展していくことがあります。
そのような場合は、本来行われるべき申告についての情報を税務署側がすでに持っていることが考えられます。
行政指導は比較的軽微な案件について行われるものですから、「お尋ね」が届く理由に心当たりがある人は、無視せず正確なデータをもとに回答をした方が無難です。


3.不動産を売ったあとに届く「お尋ね」


例えば、不動産を売ったあとに届く「お尋ね」は、譲渡所得について正しく申告がされているかどうかを尋ねるものです。
数か月から一年後など、届くまでの期間はまちまちです。
そこには売却した不動産の情報や、その不動産をどうやって手に入れたか、その不動産をいくらで売ったかといったことについての質問が書かれています。
ところで、なぜ税務署は不動産を売ったことを知っているのでしょうか。
それは、所有権移転に関する情報を法務局から定期的に手に入れているからです。
その情報では「いつ、誰と誰との間で、どんな理由で所有権が移転したか」は把握できますが、売ったことで利益が出ているかどうかまではわかりません。そのため「お尋ね」を送って、利益の有無を確認するわけです。
「利益が出ていないように装っておけば…」などと考えてはいけません。
不動産を買った人にも別の書式の「お尋ね」が送られているからです。
また、一定の金額以上の不動産を法人が買ったり、個人の不動産業者が買ったりした場合は、買い手が「不動産の譲受けの対価の支払調書」を作成し、税務署に送ります。
それらによっても「誰からいくらで買ったか」を、税務署は把握します。


4.「インターネット取引内容等についてのお尋ね」


はじめに書いたように、さまざまな税目についての「お尋ね」が送られています。
なかでも最近増えているのは、「インターネット取引内容等についてのお尋ね」です。
昨今、ネット通販やネット広告、暗号資産取引などの経済活動が活発化しています。
ネット上での売買で利益を得ている人の無申告が目立つようになり、税務署もその対策にかなり力を入れています。
心当たりのある人は、この「お尋ね」にも正確なデータをもとに回答することをお勧めします。


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Posted by 北野純一税理士事務所 at 10:55Comments(0)税務

2023年10月19日

『相続税・贈与税の改正について』の研修会を開催しました

北野純一税理士事務所の北野です。


10月17日(火)に金融機関の職員様向けに相続税・贈与税の改正についての研修会を開催しました。相続税及び贈与税の改正の具体的な解説や令和5年度税制改正の目玉の一つである110万円贈与の改正についても事例を紹介しつつわかりやすく説明いたしました。

参加者の皆様からは「具体例もありわかりやすかったです。」「暦年課税制度は前から知っていましたが、注意点や相続時精算課税制度との比較が分かりやすかったです」と大変好評でした!






セミナーの内容
1.相続にまつわる件数(家事調停等の件数など)

2.法人相続税と法定相続分

3.生前贈与と贈与税

4.相続税の計算方法

5.相続税及び贈与税の税制改正

6.R6年1月以降の暦年課税制度と相続時精算課税制度

7.暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらがよいのか

8.質疑応答



主催:北野税理士事務所 税理士 北野純一 

日にち:2023年10月17日(火)

講師:北野純一税理士事務所
   代表 税理士 北野 純一


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Posted by 北野純一税理士事務所 at 12:15Comments(0)セミナー

2023年10月13日

免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整

皆様こんにちは。
北野税理士事務所の北野です。


インボイスの登録申請を行った免税事業者は、9月15日時点で111万者になったとの報道がありました。新たに消費税の課税事業者になった事業者の多くは、簡易課税や小規模事業者の2割特例を使っての申告が予想されますが、それらを選ばない場合は本則課税での申告になります。今回は、免税事業者が課税事業者になった場合で、かつ本則課税で申告をおこなう場合の消費税申告にかかわる話です。

免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整


1.10月1日から課税事業者になったAさん
例として、インボイス登録を機に、10月1日から消費税の課税亊業者となり、本則課税で申告をするAさんがいるとします。Aさんはこれまで免税事業者だったため、使っている会計ソフトに消費税の設定をしていませんでした。10月1日以後の取引について消費税計算ができるよう会計ソフトを設定すると、同日以後の課税取引は「課税売上」や「課税仕入」などと認識されます。本則課税なので、基本的に事業年度終了時までの課税売上にかかる消費税額から、課税仕入にかかる消費税額を差し引いた残りの金額が納付税額になります。

2.免税期間に仕入れて、課税期間に売り上げた
商品Bは、Aさんが9月20日に仕入れて、10月15日に売り上げた商品です。9月20日時点の仕入は免税事業者であるため、「課税仕入」になりません。しかし、10月15日の時点の売上は課税事業者なので、「課税売上」となります。このまま消費税計算をすると、商品Bについては課税売上だけ計上されることになります。もらった消費税をそっくり納付することになってしまい、消費税の趣旨にも合いません。そこで、このような場合、「免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整」を行います。

3.棚卸資産にかかる消費税額の調整
Aさんの場合、9月30日時点で所有していた棚卸資産のうち、免税事業者であった期間に仕入れたものの課税仕入の消費税額を、課税期間の課税仕入の消費税額とみなして仕入税額控除に含めます。「調整」とはこのことを指します。
なお、棚卸資産とは、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているものを指します。棚卸資産の取得価額には、その棚卸資産の購入金額のほかに、引取運賃や荷造費用、そのほかこれを購入するために要した費用の額などが含まれます。

4.逆パターンの場合も調整が必要
ところで、ここまで述べたこととは逆に、課税事業者が免税事業者となった場合にも、棚卸資産に係る消費税額の調整が必要になります。翌事業年度が免税事業者となる場合、課税事業者としての課税期間の末日に所有している棚卸資産の課税仕入の消費税額は、その課税期間における仕入控除税額に含めることはできません。



国税庁タックスアンサー:免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整

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Posted by 北野純一税理士事務所 at 11:01Comments(0)消費税インボイス