2022年09月29日

2022年(令和4年)分の年末調整のポイントは?

北野純一税理士事務所の南田です。

秋の気配が感じられるようになると、会計事務所では、年末調整が気になる時期となります。今年の年末調整は、どのような事項がポイントとなるのでしょうか?
2022年(令和4年)分の年末調整では、税務上の大きな変更点はありません。しかし、近年、大きな改正が続いており気を付けるべき点はたくさんあります。昨年の年末調整と異なる点や注意すべきポイントについてまとめました。今のうちから、年末調整を念頭においてスケジュールを組んでいきましょう。

控除証明の電子データ提出
生命保険料や地震保険料、住宅ローンなどの控除証明については、すでに電子データでの提出ができるようになっています。これに加えて、新たに社会保険料と小規模企業共済掛金控除の控除証明についても、電子データでの提出が可能となります。電子データでの提出が難しい場合でも、必要に応じて国税局のQRコード付証明書等作成システムを利用して提出することもできます。
とはいっても、中小企業では年末調整書類を従来通り、紙で提出したい従業員の方もたくさんいるかと思います。マイナンバーカードを取得していなかったり、マイナポータルを利用していなかったりという方も多いです。今後は電子化へ向けた取り組みが増えていき、電子データでの提出が当たり前になっていくと思われますので、電子化を進めないのではなく、機会があったら、控除証明の電子データ提出に向けた取り組みをはじめるとよいかもしれません。
国税庁 年末調整手続の電子化に向けた取組について

令和5年の年末調整に関係するもの
税制改正で、住宅ローン控除の適用期限が、2025年12月31日まで延長されています。これに伴い、2022年から2025年までの間に入居した場合の住宅ローン控除について、借入金などの年末残高の限度額、控除率などが変更されました。2022年度から住宅ローン控除を受けたい場合、1年目は確定申告ですので、実際に年末調整に関係するのは2023年度からになります。
その他、非居住者扶養親族などについても変更されます。
国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)


今までの年末調整に関係するもの
最近の年末調整関係の変更では、令和2年度に大きな変更がありました。
まず、2020年1月からの所得税法が改正により、基礎控除は引き上げられ、給与所得控除は引き下げられました。それに伴い、に変更されました。また、同一生計配偶者の所得は、48万円以下に変更されました。さらに、寡婦控除全体が見直され、ひとり親控除が認められるようになりました。
年末調整は、控除証明があるものは証明書どおりに入力すればよいのですが、家族の状況に関しては常に変動があり、注意しなければなりません。年齢に関するものは、年末調整ソフトに生年月日を入力することで、ある程度は自動的に検証が可能です。家族の状況の変化が間違いないかどうかは、従業員の方に聞き取りをすることでしか把握することができません。近年、変更が多い項目ですので、しっかりとチェックしていきましょう。


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Posted by 北野純一税理士事務所 at 16:58Comments(0)税務

2022年09月14日

税務調査への備え

北野純一税理士事務所の南田です。

新型コロナの新規感染者数が減少しはじめ、次の流行が予想されているものの、社会全体ではウイズコロナへと方向性がシフトしてきています。新型コロナの影響が少なくなるのは歓迎すべきことですが、社会全体が動き出すことで気になるのが税務調査です。
今回は、税務調査の備えとなる日頃の準備について、まとめました。

税務調査はどのようなときに入るのか
税務署が、ある企業に対して税務調査をしようと思うのはどのようなときなのでしょうか。皆様がイメージするのは、「しばらく税務調査がなかったから、そろそろありそうだ」というような、定期的な税務調査かもしれません。
税務調査のきっかけもいろいろあり、問題が多そうな企業は定期的な税務調査の間隔が短く、あまり問題のなさそう企業は間隔が長いことも多いです。したがって、税務署に対する印象をよくすることは、税務調査を少なくしたい場合に有効といえるでしょう。
また、税目によって違いがあることがあります。法人税や個人事業主の所得税は、売上などが大きく変化したり、特別損失の金額が大きかったりした場合に税務署から注目されやすいです。相続税では、問題のありそうな事案があると詳細な調査をされることが多いです。

書面添付制度を活用しよう
書面添付制度は、代理申告をした税理士が、申告書類やその資料などの情報を記載した書面を税務署に提出する制度です。税務署は、この書面の内容を参考にして、どの企業を調査するかなどを決めていきます。書面添付は、申告に対する保証書のような役割をしているともいえます。

税務調査を減らすために
書面添付制度以外での税務調査を減らす方法は、やはり、毎年しっかりと申告書を作成して税務署に提出し、納税を行っていくことです。税務調査があったとしても、帳簿書類がしっかりと作成・保存されていて問題がなければ、税務調査の回数は減っていくでしょう。


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タグ :税務調査
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Posted by 北野純一税理士事務所 at 16:30Comments(0)税務

2022年09月07日

役員報酬の決定で注意しなければならないポイント

北野純一税理士事務所の南田です。今回は役員報酬についてお話しします。

役員報酬額の決定は、中小企業にとって重要な事項となります。
役員報酬が高すぎると経営を圧迫しますし、役員報酬が低すぎると、税務調査で経営者の生活費がどこから出ているのか疑問を持たれます。法人税と所得税のバランスが悪ければ、全体の税額が高くなってしまいます。
今回は、役員報酬の決定や税務調査に備えて注意しなければならないポイントをまとめました。

役員報酬は損金不算入が原則
役員報酬を損金算入することで、法人税が少なくなります。しかし、従業員の給与や賞与と異なり、役員報酬は損金不算入が原則となっています。ただし、一定の要件をみたした定額同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与については、損金算入をすることができます。
定期同額給与は、例えば、ある事業年度内で、毎月同じ金額が支払われる場合です。金額を変更するには、原則として期首から3か月以内に改定する必要があります。事前確定届出給与は、支払う時期と支給額を届出期限までに税務署長に届け出ているものをいいます。ボーナスのような取り扱いの役員報酬を支払いたい場合に適しています。業績連動給与は、一定の要件のもとで業務執行役員に対して支払われるもので、上場会社やその完全子会社などが前提となる制度です。
中小企業では、主に定期同額給与、ケースによって事前確定届出給与により役員報酬を損金算入し、この金額を超える役員報酬は損金不算入となります。したがって、役員報酬をいくらにするか、事前に打ち合わせをして経営者の納得する金額を決めることが大切です。

役員報酬決定の注意点
上記で説明した損金算入が認められる3つの役員給与に該当するものであっても、不相当に高額な部分があれば、その部分の金額は損金に算入することができません。不相当に高額かどうかは、形式基準と実質基準で判断されます。
形式基準では、定款や株主総会での決定により判断されます。役員報酬は、会社法で株主総会の決議の決定事項となっています。金額が確定しているものはその金額、確定していないものは具体的な算定方法、金銭以外のものについては、その具体的な内容を株主総会で決定しなければなりません。税務調査では、議事録の確認が求められることもあるため、規模の小さい中小企業であっても、株主総会議事録を作成し保管しておく必要があります。
さらに税務調査では、実質基準による調査がされることもあります。役員の職務内容、同業他社の支給状況などからみて、明らかに金額が大きいと判断された場合は、損金として認められない可能性があります。

中小企業で可能な節税方法と注意点
役員報酬には所得税の負担があるため、会社としては、役員報酬以外の処理方法で会社経費にしたいところです。いくつかの方法がありますが、実質とかけ離れていたり、プライベートとの混同がある経費処理がある場合には、役員報酬と判断されて損金不算入になる可能性があります。
中小企業でよくある方法が、配偶者を役員にして所得を分散する方法です。この方法は、実態がないと税務調査で否認される可能性があります。また、役員報酬を支払うことで社会保険などの負担が増える場合があることを念頭におく必要があります。通勤手当を支給する方法なども、実態が伴っていなければ否認される可能性があります。節税をしたい場合には、経営セーフティ共済や小規模企業共済など、税制上優遇されている制度の利用をすることを検討するとよいでしょう。

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Posted by 北野純一税理士事務所 at 16:53Comments(0)会計・経理経営

2022年09月06日

中小企業でもできる内部統制構築

北野純一税理士事務所の南田です。今回は、会社の行う経理に信頼性を持たせるための方法として、内部統制についてまとめました。中小企業であっても、できるかぎり内部統制を構築することで、会社の成長発展にもつながります。ぜひ、参考にしてください。

内部統制とは
内部統制とは、会社が事業活動を健全に行っていくための内部けん制の仕組みのことをいいます。会社内部には多くのルールがありますが、これらの仕組みすべてが内部統制といえます。
たとえば、接待交際費に該当する飲食費について会社経費とするとなると、上司や経営者の承認が必要であるというルールがあるとします。この承認を得られた領収証を精算し会社経費とすることになりますが、この承認が内部統制となります。このルールにより、会社の業務として行う接待にかかる飲食費のみが経費となり、プライベートな飲食費を経費としようとしても上司の承認が得られず経費とできません。この結果、会社の適切な運営が可能となります。 会計についても、適切な内部統制を構築することにより、不正やミスを減少することが可能となります。

中小企業で行うべき内部統制
(1)分業を行う
ある業務について複数の担当者が分担し分業を行うことで、不正やミスの発見・防止につながります。会計・経理についても、出納業務と記帳業務の担当者が分かれていれば、プライベートな支出を会社経費として処理づらくなります。

(2)ダブルチェック体制
人為的なミスを減らすためには、ダブルチェック体制が有効です。経理をダブルチェック体制にすることで、ミスを減らすことができます。

(3)実査・管理表作成・連番管理
中小企業ではスタッフ不足などの理由で、会計や経理については会計事務所任せというケースも多いと思いますが、現金出納帳と残高を毎日、突き合わせる実査を行うだけでも、不明な現金の入出金を減らすことができますし、税務調査があった際にも印象がよくなります。切手や収入印紙などの管理表作成、領収証の連番管理を意識的に行うことも大切です。

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Posted by 北野純一税理士事務所 at 10:26Comments(0)会計・経理経営

2022年09月02日

インボイス登録申請が遅れている!

税理士の北野純一です。

先日、某税務署職員が、当事務所を尋ねてきました。理由は、当事務所のインボイス登録申請件数が高いという理由でした。その為、高い理由、登録推進が上手くいっている理由を教えてほしいということでした。

ただ、よくよく聞くと、全国的にインボイスの登録申請が進んでいないということらしいです。確かに、国税庁のR4/3月時点発表によると、1割らいしか申請していないです。

インボイスの登録申請についてです。R5/10月からインボイスを発行する事業所は、R5/3月が期限です。このまま、推進状況が悪く、登録申請が一時期に集中してしまうと、国税局が登録通知書を発行するのに長期間を要することになりかねないらしいです。大変だ!



注)ここで、インボイスについて、お復習いします。R5/10月から、全国一斉に、インボイス制度が開始します。インボイスの様式は、今までの請求書等とほぼ、同様のものです。ただ、登録番号等が追加になります。すべての業界とはいいませんが、取引先から、インボイス発行を要求されることとなります。

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Posted by 北野純一税理士事務所 at 17:11Comments(0)消費税インボイス